中高出版部による取材記事
2022.01.13
本校の出版部のみんなが、SCIENCE CENTERについて設計会社さんと施工会社さんに取材をさせて頂いたようです。出版部から取材記事をもらったので今回はそれをご紹介させて頂きます。
以下、出版部の取材記事です。
新理科館取材
完成まで計画を含めて3年かかった新理科館。2学期が始まってから1ヶ月以上経っていて、大半の人が授業で使っていることと思う。そんな新理科館をもっと知るために、工事責任者の齋藤さん(戸田建設)、設計者の斉藤さん(久米設計)と海城地学科の山田先生の3人に我々出版部が取材した。
計画の概要
新理科館の建設計画が発表されたのは2018年の7月のことだ。老朽化した3号館を取り壊し、かつての理科館の設備更新などを目的としてその跡地と前庭の一部を用いて新しい理科館を建設する という計画だ。かつての前庭は以下の写真のようなものであった。
3号館は、1956年に建設された海城最古の棟で1962年と1972年に増築が行われ、現在はディスプレイルームや体育の授業で使われる多目的教室がある。海城中学高等学校同窓会誌『海原』によると、かつては中学生棟として利用されており、建設当時は現在と同じ直線状の校舎だった。その後、1962年の増築の際に生徒の増加に伴い、L字型の校舎となった。2008年に解体され、直線状の校舎となった。
教室の移動先
今回の解体工事によって、3号館の教室は他の棟に移動することになった。多目的教室②・③で行われていた体育の授業は、アリーナの3階で行われる。また、ディスプレイルームとして利用されていた多目的ホール①は第一会議室で代替された。また、3号館で活動していた部活のうち、卓球部は同じくアリーナの3階で行われ、競技かるた部は部室棟2階へ移動した。
新理科館の設計について
新理科棟は地上3(一部4)階地下1階建てで、地下1階は倉庫や電気設備、1階は物理、地学の実験室と準備室と階段教室、2階は生物の実験室と準備室、共同実験室、そして理科職員室がある。3階は化学実験室と準備室、共同実験室とプレゼンテーションスペース、そして4階はラボスペースと屋上緑化、太陽光パネルや風力発電などがある。
他にも、1~3階にはそれぞれ共有スペースが設けられるそうだ。この設計では自然科学の仕組みや環境配慮の手法を体感することを重要だと考え、「1,学び・交流・発信が融合する新しい理科館」、「2,学園の新しい『顔』としての新理科館」、「3,環境教材やものづくりを体験できる教材校舎」の3つを基本コンセプトにしている。また、4科の横断も重要なコンセプトの1つだ。このようにさまざまな設備があるが、先生方の要望や思いによって作られたものもある。例えば、実験室内のレイアウトに関する要望があるそうだ。(文責:池内優輝)
今回特集する新理科館はサイエンスセンターというその名の通り理科専用の校舎である。そのコンセプトは「教材校舎」。校舎自体が教材になっているというのだ。実際に、 特殊な空調設備やソーラーパネル、風力発電などそのほかにも記事には書き切れないほ どの工夫が施されている。そうした環境に配慮して作られた新理科館だが、従来の建物 よりも 50%省エネ化されており、ZEB Ready という認証を取得している。 各科目の実験室も随所に工夫が散りばめられており、設計をする際には久米設計の斉藤政弘さんが各教科の先生方と打ち合わせを行い、各教科の先生方の授業スタイルに 合わせて設計されているという。そのため、実験室の間取りや向きから机の材質まで 全て各科目に合った仕様となっている。(文責:川並久聡)
夏休み期間中、あっという間に外回りが整備され全貌を表した新理科館。とても綺麗で、こんなところで学生生活を送れるのだと思うと心が躍る。 しかしその、この海城に新しい風を巻き起こす新理科館は、旧理科館とはどのような点が違ってくるのか?皆さんが今最も気になっているであろうそれを設備の面から伺った。
主なものだと
・化学 ドラフトチャンバー(有害な気体を安全に扱うための排気装置)が2台から綺麗なものが9台になった
・地学 岩石処理室が設けられ、自分たちで岩石標本が作れるようになった
・物理 長周期の振り子が天井から吊るされる仕組みになっている
・生物 温室が屋上に設けられた、また屋上植栽は授業で使用される植物を中心に植えられた
その他にも、200インチの大画面のスクリーンなどがあり、ここには書き切れないほどのたくさんの設備が新規で設置されている。このように、教科ごとに新設備が最低一個導入されており、我々生徒にとってとても興味深い校舎となっている。(文責:西岡惟珀)
一番費用がかかった設備はどこか?
新理科館の設備の中で、一番費用がかかった場所はどこかという質問に対し、工事責任者の齊藤さんは、戸田建設が造ったわけではないが、個々で別の会社に依頼して教室などに配置する実験器具に一番費用がかかったのではないか、と話した。 実験器具はこれからも増えていくと思われるが、実験器具を入れる棚を大きくしたりするなど、戸田建設が造った新理科館を実験器具によってさらにより良い「教材校舎」として変化していけるように設計したという。教材校舎とは、新理科館のコンセプトであり、校舎自体が学びの教材となれるような校舎のことだ。 前庭から校舎に入ると、正面の床に剥ぎ取られた地層が展示されている。また、一部の天井は剥がされて天井の上が見られるようになっている。理科に関係ないものもあり、さまざまなことが学べる新理科館になっている。(文責;水口僚)
新理科館を「作った人」が、完成した新理科館を見てどう思っているかを質問した
設計者の斉藤さんは、「新理科館を作ることは始まりに過ぎない。使ってこその新理科館。理科で様々な現象の理由を考えてほしい」と、新理科館を教材校舎として利用することがメインだと述べた。また、出来に関して、工事責任者の齋藤さんは、「今まで手がけてきたものの中で、最高の出来栄え」と語っていた。(文責:越阪部凜)
設計図
次に私たちは新理科館の設計に際して書いた設計図の数を伺った。設計を行った斉藤さんによると、建物の意匠にかかわるものが120枚、建物の構造にかかわるものが50枚、機械設備にかかわるものが60枚、電気・配線にかかわるものが50枚、そのほかに実際に建物を建てられるようにするために約3000~4000枚もの設計図を描いたそうだ。私たちも技術の時間に製図を行ったことがあるが、その経験からも分かるようにこの校舎は多くの人々の努力の上に成り立っているのだ。(文責:池内優輝)